働く動物達の話

★強いストレスが原因で胃潰瘍になる事は、 よく知られている。 このストレスから防御する為に、 アメリカ公衆衛生局が有効と認めたのは、 哺乳類ペット。抱きかかえるだけで、 ペットの体温が伝わり心を癒してくれる。 ★犬は軍用犬としても活躍していた。 太平洋戦争では日本軍だけでも、 10万頭の犬が戦った。犬達は「お国の為」と、 飼い主が手放したり現地で徴発された。 可愛そうな事に、 終戦とともに置き去りにされている。 ★犬や猫などのペットを飼う事で、 ゆとりある生活をおくれるという効果はあるが、 こわいのは死んだ時で、 「ペット・ロス症候群」として注目されている。 新しくペットを飼う事が最も効果的とされる。 ★戦国時代の日本で、 スパイ犬として活躍した犬がいた。 この犬は防御が厳しいと思えば、 一声吠えて退散し、いけるとなれば、 外で待っている主人にむかって、 激しく尻尾を振った。 その判断は正確で味方を勝利に導いていた。 ★知能指数の高いチンパンジーは、 高度な家事介護もできる。 事故などで手足が自由に動かなくなった人の為、 決められた合図でコーヒーをいれたり、 テレビのチャンネルを変えたりなど、 日常的な作業をこなしてくれる。 ★阪神大震災をきっかけに、 発足した「日本レスキュー協会」には、 災害救助犬を養成する 「ジャパンドッグアカデミー」があり、 今年2月に救助犬訓練のプロ第1期生が卒業した。 訓練士の人気は高くひっぱりだこ。 ★1960年代に、アメリカ海軍が実用化寸前まで、 開発したのはイルカを利用した生物魚雷。 イルカの体に小型核爆弾をとりつけて、 敵の艦船に体当たりさせようとしたものだが、 戦場まで運ぶのが難しく計画は中止された。 ★ホース・セラピーの効果として、 視線の高さからくる開放感を、 指摘する医師も多い。 乗馬した時に人間の頭の高さは3m近くになり、 遠くまで見渡す事が出来る。 この開放感が精神的に良い刺激を与える。 ★ラブラドールレトリーバーは、 介助犬や救助犬として利用されるが、 賢いかと思ったら大間違い。 誉められるのが大好きで、 エサにすぐつられる単純な性格の犬だから、 誉めたりエサをやる事で訓練しやすくなるのだ。 ★猫は人間になつかないと言われるが、 キャット・セラピーでは犬のような従順さより、 動きの美しさによる 「癒し」の効果を重視している。 猫のくつろいだ姿は、見る人間の心もくつろがせ、 リラックスさせるから。 ★アメリカの空港にいるビーグル犬は、 国内に輸入される事が禁止されている食物を、 探知するのも任務。 威圧感のある大型犬と違って、 可愛いビーグル犬なら、 人に恐怖感を与えない事から、 適職だと考えられている。 ★援護要請の伝令役として犬を使ったのが、 松山城で留守番をしていた太田三楽斎の家来。 犬好きの殿様が飼っていた犬10頭に、 手紙を入れた竹筒をつけ主人の元へ走らせた。 犬は見事に役割を果たしたという。 ★犬や猫はもちろん、爬虫類、魚類まで、 さまざまな動物と人間の相互関係を研究し、 健康、生活などに役立てようという科学が、 ヒューマン・アニマルボンド(HAB)。 少子化・高年齢化社会で、 不可欠な学問と言われている。 ★ARDA(アメリカ救助犬協会)の犬達は、 依頼を受けた事件に対しての成功率は90%以上。 犬を訓練する人はボランティアで、 司法当局から呼び出される前に、 集中的に行方不明者を探す訓練をしている。 ★古代ギリシャ時代、 薬の神であるアスクレピウスの宗派では、 数多くの犬を使用したとされている。 その犬達は、病人を舌でなめて、 癒す力があると信じられていた。 ★最近、欧米では、 心臓病やてんかんの患者についている犬が居る。 彼(彼女)達は、 それぞれの病気の発作が起きる直前の臭いを、 察知し知らせたり救助したりする。 ★阪神大震災や、 アメリカの同時多発テロで大活躍した救助犬は、 その並外れた嗅覚で現場から生存者を探し出す。 現場は、酷い状態で、 瓦礫の下にいる人間を探し出すのには、 ダックスフントやビーグルなどの、 小・中型の犬も必要とされている。 ★近年、オーストラリアの警察では、 警察犬の頭に軽量赤外線カメラ、 「ドッグ・カム」を付けて捜査をしている。 犬の背負った送信機から画像は送られ、 300m以内の場所で、 警察官はモニターをチェックする。 ★1990年代より行われている動物介在療法は、 運動神経をよくする事や車椅子の補佐、 立った時の平衡感覚のリハビリ、 精神面では自尊心や注意力を高めたり、 発語を増やすなどの効果がある。 ★心臓は人と動物の健康の相互関係を、 調べる上で研究対象とされる事が多い。 アメリカで、不整脈に苦しむ人々を、 調査したところ、動物を飼っている人は、 飼ってない人よりも、 1年後の生存率が高いという結果が出た。 ★海で遭難した船乗りが、 イルカに助けられた実例が多い事から、 考え出されたのがイルカ・セラピー。 イルカには不調の仲間をかばう性質があり、 人間でも心身の不調を訴える患者に、 そっと寄り添い励ますように泳ぐ。 ★イルカとともに泳ぐ事で、心身の健康を、 取り戻そうとするイルカ・セラピーでは、 ムチ打症やアレルギーなどの治療効果が、 アメリカで認められている。 海水中の無重力状態なども、 この効果を強めていると考えられている。 ★盲導犬として良い血統の犬は少なく、 どうしても近親交配が多くなって、 能力低下を招きやすい。日本では、 昨年から冷蔵精子を使った人工授精が始まり、 今年1月9日に初成功、 海外から優秀な精子を導入予定。 ★昨年9月の同時多発テロ事件より、 米連邦航空局はテロ対策として、 爆発物を探知する犬の、 養殖に取り組むと公表した。 予算はなんと500万ドル(約6億7000万円)で、 全米で80の空港に300頭を配置する予定。 ★19世紀、フランス陸軍は、 足を負傷した兵士の中で騎兵の回復が、 最も早い事に注目しホース・セラピーを始めた。 今は、交通事故などで、 車椅子の生活をおくっている人々の為に、 乗馬をすすめる医師が多い。 ★乗馬の効用が注目されだしたのは、 1952年のヘルシンキ五輪の乗馬競技で、 下半身麻痺の選手が銀メダルを取った事から。 以後、1960年代から欧米で、 リハビリに取り入れられるようになった。 ★2万年前のアラスカで、 世界で初めての家畜になった動物は犬。 日本でも神奈川県の夏島貝塚で、 9500年前の骨が見つかっている。 食用にもされていたようだが、 狩りの時に獲物を追い詰める事が、 一番の役割だった。 ★アメリカの警察が、 専門の犬を本格的に訓練して、 警察犬として使うようになったのは、 ベトナム戦争と、 その後の麻薬の蔓延に伴うテロ行為が、 頻発した事がきっかけ。 訓練は罰を与えるよりも、 誉める方が効果的だという。 ★人間の100万倍という犬の嗅覚を、 平和利用したのが地雷探索犬。 発見率は100%だったが、 完全密閉式のプラスチック・カバー地雷が、 考案されてからは、 作業中に爆死する犬が続出し問題となっている。 ★1995年、米・税関局は、 ビーグル犬を使った433のチームによって、 末端価格にして、 20億ドル(約2680億円)にもなる麻薬の、 押収に成功している。 ビーグル犬は麻薬の臭いがすると、 その前に座るよう訓練されていた。 ★アメリカでは現在8千頭の犬が、 セラピー犬(治療犬)として登録されている。 彼らはフルタイムの看護婦のように、 患者の様子を気づかい、 いち早く異変に気づいたり、 ホスピスを毎日巡回したりして、 任務を果たしている。 ★欧米で積極的に取り入れられている アニマル・セラピー(動物療法)の一つが、 足を骨折した患者のリハビリ訓練。 特に子供や老人に有効で、 辛いリハビリ訓練を少しでも楽しくしようと、 1960年代から始まった。 ★カーと呼ばれる大型犬は、広い牧場で、 半野生の牛や馬を集めるカウ・ドッグ。 自分の3倍もの大きさの牛や、 馬をわざと挑発したり、 周囲を旋回したりして気を引き、 うまく1箇所に集めるのだから度胸がある。 ★罪も犯していないのに、 刑務所に入った犬がいる。 ラッグというこの犬は、 廊下や部屋、医務室などを巡回したり、 ある囚人の足元から離れず、 自殺を諦めさせたりと、 殺伐とした囚人達の心の支えとなっている。 ★聴覚障害者の為に訓練されたのが聴導犬。 電話のベル、ドアのチャイムや、 洗濯機のタイマー音、目覚ましのベル、 銀行・病院の呼び出しまで聞き分けて、 飼い主に知らせる。 日本では、まだ20頭くらいしかいない。 ★羊を守る犬という意味の、 ペロ・オベヘロという犬はその名の通り牧羊犬。 ウルグアイが原産のこの犬達は人間に頼らず、 自分達だけで羊の群れを守っている。 寝るのも羊と一緒だというのだから、 徹底している。 ★これまでペットとよばれてきた犬や猫だが、 1980年代から家族の一員として、 認められるようになった。呼び方も、 コンパニオン・アニマル(伴侶動物)に変わり、 家族生活の中で人間に心の安らぎを与えている。 ★盲導犬になれるのは、 訓練を受けた犬のうち約半数だけ。 賢くなければなれないが、 頭が良すぎても駄目だというから難しい。 持久力や集中力も要求され、 危険を感じた時には、 主人に服従しない事も重要とか。 ★1880年代から1908年までの、 アラスカやカナダでのゴールドラッシュで、 たちまち1000ドルの値がついたのは、 金鉱で働く牽引犬たち。 コリーやセント・バナード、レトリバー、 スパニエルなどが船で大量に運ばれ活躍した。 ★アニマル・セラピーの効果が認められた為、 1980年代から増え始めたのがペット共生住宅。 犬の散歩後に足の汚れを落とす足洗い場、 シャンプー、ドライヤーなどを、 備えたグルーミングルームなどが付帯している。 ★子供にとって馬に乗るホース・セラピーが、 有効なのは、大きな動物を動かす事で、 自分より強い人間を精神的に克服出来るから。 馬に乗れるようになるまでの過程に、 ゲーム性がある事も効果的といわれる。 ★ペットと介護犬はどうやって見分けるのか。 介護犬にはたいてい、 首輪や胴輪にID番号がついている。但し、 介護動物であるという証明は必要ないので、 誰も証明書の提示を、 強要してはいけない事になっている。 ★さまざまな障害を持つ人達の為に、 訓練を受けているのが特殊介護犬。 ナルコブレシー(睡眠発作)を起こした時に、 対処したり、精神的に混乱しないように、 注意を払う事が仕事で、 「ペットお断り」の店にも連れて入れる。 ★アメリカでは何時でも何処でも、 海外派遣出来る捜索救助犬がいる。 要請があれば6時間以内に、 現地に到着出来るという機敏性のある救助隊。 彼らは天災やテロなどで、 瓦礫の下敷きになった人々を、 鋭い嗅覚で探し出す。 ★ショッピングセンターレストランなど、 多くの人が集まる場所で、 盲導犬の入場を許すかどうかは、 意見が分かれるところ。 但し、一般的な傾向として認める方向にあり、 入場不可のお店は、 10年後にはなくなると言われる。 ★トリュフ犬は、 犬の鋭い嗅覚を利用した最も古い訓練犬。 トリュフといえば超高級なキノコ。 イタリアでは犬が、フランスでは豚が、 地中からのかすかな臭いをたよりに、 トリュフの在りかを探し出す。 ★田中真紀子衆議院議員が、 会長を務める「介助犬を推進する議員の会」では、 車イスの飼い主に寄り添い、 ドアを開け、買い物の商品を取ったり、 財布をくわえて支払うなどの、 世話をする介助犬復旧を目的とする。 ★介護動物はペットではないので、 「ペット禁止」のお店にも入る事が出来る。 但し、介護動物といえども、 他のお客さんに対して吠えたり、 危険を及ぼすと思われる時は、 店側は飼い主に言って屋外に出す事も出来る。 ★介助犬の効用は患者に直接あらわれる。 ただ撫でているだけで、 血圧が下がり心拍数が減る。 心臓発作を経験している患者では、 ペットを飼っている人の方が、 飼っていない人より、 1年以上長生きするという結果が出ている。 ★正しい訓練を受ければ、正常な嗅覚と、 強い意志のある犬なら、 嗅覚を使った仕事ができるという。 現在、知能が高く、 最も訓練犬として注目されているのは、 オーストラリアン・シェパード、 という事になっている。 ★合衆国関税局で働く犬達は意外にも、 盲導犬養成所から連れてこられる事が、 多いという。 盲導犬としては攻撃性が強すぎる犬が、 空港で麻薬や輸出入禁止の食物などを、 発見する探知犬として活躍していたりする。