ゴルフの話

★イギリスの名門ゴルフ・クラブの、 誇りの高さは半端じゃない。 ルール違反をしたロイヤル・ファミリーの1人と、 トラブルを起こしたところ、 翌日召集された理事会で、「ロイヤル」の、 クラブ称号返上を決めてしまったほど。 ★アメリカにゴルフを広めたのは、 スコットランド人。19世紀の終り頃に、 ゴルフの歴史の浅いアメリカでは、 スコットランド訛りで喋るゴルファーなら、 誰でもコース設計者として、 信用されていたといわれる。 ★スコットランド出身のウィリー・デイビスは、 アメリカでのコース設計者第1号。 「シネコック・ヒルズ」「ニューポート」 「ジ・カントリークラブ」と、 全米ゴルフ協会の母体である5つのうちの、 3つのコースを設計した。 ★1895年、全米ゴルフ協会を結成したと同時に、 全米アマチュア、全米オープンの、 公式トーナメントをスタートさせたのは、 シカゴ出身のチャールズ・マクドナルド。 第1回の全米アマチュアでは、 彼自身出場し優勝している。 ★初期のボールは野球の表面のように、 表面はツルツルだった。 ところが使っているうちに、 表面が傷付けば付くほど飛距離が伸びる。 この現象は、傷のまわりに空気の渦が出来る為で、 今では空気力学応用のくぼみがある。 ★日本のクラブ・メーカーに、 ダイワ、オリムピック、がまかつ等、 釣り具メーカーが多いのは、 釣り竿作りのノウハウを クラブのシャフト作りに応用出来るから。 日本のカーボン・ロッド技術は、 世界一と言われている。 ★現在、日本最強の、 アマチュアゴルファーと言われるのが、 沖縄県の宮里兄妹。 兄の優作はプロと互角以上に戦い、妹の藍は、 高校生で全日本女子アマ優勝という凄さ。 ★「オナラブル・カンパニー」の、 メンバーになる為には、 ウエイティング・リストに載ってから、 最低15年は待たされる。更に入会審査では、 全メンバーの同意が必要という厳しさで、 これが世界一閉鎖的に言われる所以。 ★初期のクラブは何を打つにもウッドしかなく、 ヘッド、シャフトとも木で出来ていた。 これは当時使われていたボールが高価だった為、 アイアンで傷付けたくなかったから。 本格的にアイアンが使われたのは1850年代。 ★全米オープン、全米プロ等に優勝した、 ウォルター・ヘーゲンはお酒大好きプロだった。 3日後までトップだった全米プロでは、 優勝前祝いと白いタキシードで飲みあかし、 最終日にタキシードのままプレーして優勝した。 ★毎年4月に開催されるマスターズは、 ゴルファー全てが憧れるトーナメント。 開催前には、前年優勝者が、 メニューを決める夕食会が開かれる。 昨年、タイガー・ウッズはハンバーガーを選び、 大きな話題となった。 ★昔のゴルフ・コースの中は、 原則誰でも立ち入り自由で、 馬車が入る事もあった。この馬車が通ったあと、 深い車輪の窪みができ、 ここにボールが入ったら打てない為、 工夫されて出来たのがアイアン・クラブ。 ★世界初のゴルフクラブは、 ロンドンに移住したフリーメイソンが、 1806年に結成した 「ブラックヒース・ゴルフクラブ」。 本当の目的はゴルフ後の会食で、 ゴルフは賭けを楽しみ、 お腹を空かせる為でしかなかった。 ★ゴルフの原形は、オランダで流行っていた コルフェンという、 氷の上に小さなスティックを立て、 ボールを当てる単純なゲームとか。 これをスコットランド人が、 グラウンドに小さな穴を開けて、 真似たのが始まりだと言われる。 ★ゴルフが発展したのは、 イギリスとスコットランドの間で、 1502年に結ばれたグラスゴー条約が、 きっかけといえる。 条約を結んだジェームス4世をはじめ、 スコットランド王家のスチュアート家は、 みんな大のゴルフ好きだった。 ★世界最古のゴルフコースは、 たった5ホールしかなく、これを2回まわる事で、 1ラウンドとし基準は35。全てのホールは、 400ヤードを超えるロング・ホールで、 1826年にヘンリー・ローが出した60が、 ベスト・スコア。 ★ゴルファー憧れの、 スコットランドにあるセント・アンドリュースは、 1834年に「ロイヤル」の称号が与えられた。 正式名称は、 「ロイヤル・アンド・エインシェント・ ゴルフクラブ・オブ・セント・アンドリュース」。 ★19世紀の終りに、 次々とゴルフクラブが結成され、 1800年には7つだったのが、 1897年には200以上になっていた。 18ホールで1ラウンドとなったのは、 当時から中心だったセント・アンドリュースを、 真似したから。 ★セント・アンドリュースの町は、7世紀末に、 セント・アンドリューの、 聖骨を収めた聖堂の建立を、 許可された事に始まる。 その後、3大聖地とされ教主の居城が築かれたり、 いち早く大学も開設された文化都市。 ★ゴルフ雑誌が毎年開催する、 飛距離を競うドラコン日本一大会で、 今年(2002年)優勝したのは、 アマチュア大学生の伊藤元気。 身長180cm、体重59kgと痩せているが、 383ヤード(350m)も飛ばした。 ★東京・新宿にある新宿御苑は、 元々は皇族専用の庭園だった。 昭和天皇はゴルフが大好きで、 この庭園にゴルフ・コースを作った程。 又、皇居の広大な庭にも短いコースを作って、 ゴルフを楽しんでいたそうだ。 ★今はチタンが主流のウッド・クラブだが、 1980年代までは、呼び名通り木で作られていた。 軽くて硬いという特質を持つ、 アメリカ産のパーシモン(柿)が使われ、 油に長くつけて、 よりボールの弾きを良くしていた。 ★20世紀初めの、 イギリスのゴルフ人口は相当なものだった。 ある時期、3つのクラブが共有する、 ウィンブルドンのコースで管理委員会が、 1週間のラウンド数を調べたところ1149、 1日平均164ラウンドにもなったという。 ★ゴルフクラブの運営の鍵を握るのは支配人。 1901年、ロンドンで最高峰の 「サニングデール・ゴルフクラブ」で、 435人の中から選ばれたのが、 アマチュア・ゴルファーで初めて、 コース設計者となったハリー・コルトだった。 ★英国一、閉鎖的なゴルフ・クラブは 「スウィンリー・フォレスト」。 ダービー卿の為だけに作られたコースで、 右に曲がるコースばかり打つ彼に、 都合の良いように、どのホールも、 ティー・グラウンドが左端に作られている。 ★墓地にゴルフ・コースを作ったのが 「ロイヤル・ウォーキング・ゴルフ・クラブ」。 ここを通る列車を、 葬式に使うと割り引きが効いたので、 ゴルフ・クラブを箱に詰め、喪服を着て、 割引切符を手に入れたメンバーも居たという。 ★今のようにコースが整備される前は、 ティー・グラウンドと、 グリーンは同じ位置にあった。 ホール・アウトした場所から、 1クラブ以内の場所にティー・アップし、そこから、 次のホールが始まるというルールだったから。 ★ゴルフでは前半の9ホールをアウト、 後半の9ホールをインと呼ぶ。これは、 セント・アンドリュースのオールド・コースで、 行きを「ゴーイング・アウト」、 帰りを「カミング・イン」、 と言ったのが語源となっている。 ★初期のゴルフ・ボールは、 フェザリー・ボールと言い、ほとんどが、 オランダからの輸入の為とても高かった。 鳥の羽毛(フェザー)を芯にし、牛革で包んだ物で、 ボール職人は、 埃を吸う為に寿命が短かったという。 ★ゴルフを大衆レベルまで広げるのに、 一役買ったのがガタ・パーチャ・ボールだった。 原料がゴムの樹液の為に、 生産性と耐久性が大幅にアップ。 上流階級でもないと買えない程に、 高かったボールの値段が3分の1になったから。 ★初の全英オープンは、 創始者であるジェームス・フェアリーが、 1861年に主催したトーナメント。 参加者はプロ10人、アマチュア8人、 彼自身アマチュアとして優勝しているが、 優勝プロとの差は21ストロークもあった。 ★ゴルファーにとってウィンブルドンといえば、 「ロイヤル・ウィンブルドン・ゴルフクラブ」 が浮かぶ。風車小屋がシンボルの、 コモン(共有地)をコースとし、 のちのエドワード7世を、 パトロンにした名門中の名門。