韓国料理の話

★「ソクスプルコギ」は、 韓国風のハンバーグといったところ。 ソクスとは「網焼き」の意味で、 プルコギはご存知「焼肉」。 細切りにした牛肉を網ではさみ炭火で焼く。 残念ながらこれを出す店は、 韓国でもあまり多くない。 ★韓国料理の特徴は、 ヤンニョム(薬念)という薬味調理料にある。 味噌や醤油、砂糖の他にニンニク、唐辛子、 胡麻油、コチュジャン、蜂蜜、塩辛等が加わり、 素材にない成分を補いバランスをとっている。 ★白菜キムチが広まったのは、 19世紀になってから。初期のキムチは、 ただの野菜の漬け物でしかなく、 12世紀になって香辛菜類を入れる事で、 独特な味が誕生、トウガラシを、 入れるようになったのはもっと後になってから。 ★キムチの語源は「沈菜」。 野菜の塩漬けという意味だから、 日本でいえば「お新香」といったところ。 この「沈菜」という言葉が、「チムチェ」から 「キムチェ」となり長い年月の間になまって 「キムチ」となったという。 ★トウガラシ消費大国の韓国には、 太っている人はほとんど居ない。 トウガラシには発汗作用があり、 新陳代謝を活発にしてくれるから。 日本でも、トウガラシ成分入りの入浴剤や、 パック等が人気商品となっている。 ★身分の上下に関わらず、 韓国では誰もがキムチを食べる。 朝鮮時代の王様の食卓にも、白菜キムチ、 カクテキ、水キムチが必ずのっていた。 但し、この白菜キムチは イシモチの塩辛をふんだんに使った贅沢な一品。 ★朝鮮半島にトウガラシが入ったのは、 17世紀頃で日本から輸入されたという。 日本よりはるかに多く、 使われるようになったのは、 肉食の習慣があり、肉の腐敗防止、 臭み消しの為に、トウガラシが必要だったから。 ★プルコギ(焼き肉)を焼く方法は、 網や網状の鉄板で焼く方法と、 ジンギスカンのように、 網目のない鉄板や石で焼くやり方がある。 どちらが本家という事はない。 ★韓国で肉食が発達したのには、 歴史的背景がある。 仏教が国教だった頃、肉食は姿を消したが、 その後、蒙古に侵略されて肉食が習慣となり、 食生活に、 何の制限のなかった儒教の時代に入ると、 肉が食卓の中心となったのだ。 ★「サムギョプサル」は、 豚の三枚肉を使った焼き肉。 鉄のプレートでカリカリに焼いた 「サムギョプサル」は、 豚のうま味と油の甘味が絶妙。 高級なカルビにも引けをとらないうまさ。 ★「ナムル」は大豆モヤシ、ニラ、ワラビ、 たらの芽、ゼンマイ等、色々な野菜を、 味噌や醤油、酢、トウガラシ等で和えた物。 生の野菜を使うと「センチェ」、 ゆでた物を使えば「スッチェ」という。 ★韓国料理のフルコースといえば、「韓定食」。 現地では、 伝統的な韓国家屋の店構えのところが多く、 個室のオンドル部屋が、 用意されているところも少なくない。 高級料理だが、 ランチならそこそこの値段で手軽に味わえる。 ★韓国の人はインスタント食品が大好き。 喫茶店に入ってコーヒーを頼めば、 インスタント・コーヒーが、 ラーメン屋に入れば、 インスタント・ラーメンが出てくる。 知らないでいると、 驚いたりムカつくがこれが韓国式。 ★韓国では、肉、魚、野菜で、 スープを取った汁物を「クッ」とか「タン」、 醤油や味噌等で、 濃厚に味付けした鍋物を「チゲ」という。 汁よりも具が多い物が「チゲ」、 少ない物が「クッ」又は、「タン」となる。 ★焼き肉と冷麺はワンセット。韓国料理で、 焼き肉の看板を挙げているところには、 必ず冷麺が置いてある。 冷麺屋には、メニューに焼き肉があるのが常識。 焼き肉を食べた後は、 冷麺で締めるというのが韓国通というもの。 ★韓国で風邪に効く料理といえば、 「コンナムルククパプ」。コンナムルとは、 豆もやし、ククパプは汁かけご飯の事。 日本のもやしより、 豆の部分が大きくシャキシャキした歯応え。 たっぷり入れるトウガラシが効くのかも? ★韓国家庭料理の中でも、 お好み焼きは一つのジャンルとなっている。 基本は「チヂミ」のように、 小麦粉を卵で溶いたタネに具を入れた物で、 表面はカリカリで香ばしく、 中をしっとり仕上げるのがポイント。 ★「チゲ(鍋物)」を作る時、 ポイントとなるのはダデギ。 真っ赤で、いかにも辛そうなダデギは、 生トウガラシ、ニンニク、赤味噌、味噌、醤油、 生姜、ネギを入れて混ぜた物で、 この配合が「チゲ」の命。 ★「サムゲタン」は、 神経痛や血行不良等に効く健康食。 一羽丸ごと使った鶏のお腹に、 餅米や高麗人参を詰めてスープで煮込んだ物。 上質の鶏を使えば長時間煮込んでも崩れず、 そのままの形で運ばれてくる。 ★日本のキムチは白菜を、 「キムチの素」的な液につけて作る浅漬けだが、 本場韓国では、動物性タンパクも加え、 乳酸発酵させた日本の納豆のような発酵食品。 面白い事に韓国でも、 日本のキムチに人気が集まってきている。 ★韓国料理では金属の食器、スプーン、 お箸を使う事が多い。 これは国王が統治していた頃に暗殺を防ぐ為、 毒を検出する銀の食器類を、 宮廷で使っていた習慣が、 広く民衆の間にも広まっていったから。 ★ビビンバの食べ方は色々あるが、 本場韓国ではお焦げをうまく作る為に、 まず具だけをかき混ぜ、 次にご飯を少しずつ具と混ぜていく。 パチパチと乾いた音が出始めたら、 全体をひっくり返して食べ始める。 ★ビビンバのお焦げは計算して作られている。 韓国の人々は、 お焦げの美味しさを経験的に知っていたからで、 科学的にも、お焦げの部分は、 お米のデンプンが旨味に変わり、 その上、風味も増す事が証明されている。 ★アメリカで、 もっとも有名な韓国料理といえばキムチ。 ピクルスのように、 肉料理の付け合わせとして食べる。 日韓両国が輸出しているが、 表記は本場韓国が強行に「KIMCHI」を主張、 日本の「KIMUCHI」を退けた。 ★韓国料理とフランス料理の、 共通点と言えるのが、果物を上手に利用する事。 バターを多用するフランス料理は、 くどさを果物で中和するし、 トウガラシを多用する韓国料理は、 辛さをマイルドにする為に使う。 ★韓国の11月は、「キムジュン節(チヨル)」 と呼ばれ、厳しい冬に備えての、 自家製キムチ、カクテキ作りが一斉に始まる。 又、「チャンアチ」と呼ばれるニンニク、大根の、 トウガラシ味噌漬けを作る家庭も少なくない。 ★韓国料理になくてはならない調味料、 ヤンニョムのベース作りは、 大量のニンニクを丁寧にすりおろし、 これに粉末のトウガラシを大量に混ぜ合わせ、 一時間以上も練り込む。 ゴムの手袋をつけないと手が腫れて大変。 ★日本の漬け物売り上げナンバー1は、 2002年には梅干しからキムチとなった。 梅干し、キムチともに料理にも使えるところが、 消費量を押し上げていたが、 「キムチ鍋」の爆発的ヒットで、 キムチの売り上げが伸びた。 ★「ブデチゲ」は韓国のB級グルメ。 「ブデ」とは米軍部隊を指し、 戦時中にここから流れてきた缶詰めや、 ソーセージを使った事から名付けられた。 安食堂の定番メニューで、 締めにインスタントラーメンが入るのがチープ。 ★美味しいキムチの選び方は、 当たり前だが原材料にある。 ポイントはアミの塩辛等の動物性の原材料で、 入ってるか入っていないかでは、 味の深みがまったく違ってくるし、 野菜類にもその美味しさやコクが染み込む。 ★ダシと言えば、 日本では鰹や昆布が一般的だが、 肉が大好きな韓国ではダシも肉でとる。 日本のダシもさっぱりとして美味しいが、 肉でとった韓国のダシは、 旨味成分が充分出ていて、 濃厚なコクがあり違った味わい。 ★韓国料理はトウガラシ、ニンニク、胡麻油を、 ふんだんに使うのが特徴。 これら三種のスパイスは、 料理の味を良くするのと同時に、 栄養バランスをとり食欲をそそる等、 豊かな食生活まで約束してくれる。 ★焼き肉と言えば日本では牛肉が常識だが、 本場韓国では牛より安い豚が若者に人気。 「デジカルビグイ」とは、 豚のアバラ肉を使った焼き肉で、 濃厚な味付けをする。 豚以外にも家鴨(あひる)、鶏の焼き肉もある。 ★韓国キムチの歴史は7世紀までさかのぼる。 韓国の主食は穀物で栄養バランスをとる為には、 野菜をとる必要があった。 厳しい冬に備え野菜を保存する為に、 塩蔵という貯蔵方法が発達しキムチがうまれた。 ★キムチが体に良いのは乳酸菌のおかげ。 塩漬けの白菜にトウガラシ、ニンニク、 生姜等を混ぜるのだが、 熟成の段階で乳酸菌が発生し、 有害な細菌を抑制する。 熟成が進むと抗菌作用もあらわれる。 ★酔いざましに効くと言われるのが、 「ヘジャンクク」。 ヘジャンとは酔いざまし、 ククはスープという意味で、 そのまんまのネーミング。 白菜等の他、牛の血「ソンジ」が、 入っているのが特徴で意外とあっさり味。